猫の腹水とは？症状・原因・治療法を獣医師が解説

猫の腹水（ふくすい）とは何ですか？答えは、お腹に異常な量の液体がたまる症状のことです。血液や尿、リンパ液などがお腹の中に溜まってしまう状態で、単なる肥満とは全く違う深刻な症状なんですよ。私も動物病院で働いていると、「最近お腹がぽっこりしてきた」と来院される飼い主さんをよく見かけます。実はこれ、7歳以上の猫によく見られる症状で、放っておくと命に関わることも。特に気をつけたいのは、お腹を触るとブヨブヨしている、呼吸が荒い、ジャンプをしなくなったなどのサイン。これらの症状が見られたら、すぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。この記事では、私が実際に診察した症例も交えながら、腹水の原因から治療法まで詳しく解説していきます。愛猫の健康を守るために、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

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• 1、猫のお腹に水がたまる「腹水」って何？
• 2、腹水のサインを見逃すな！
• 3、腹水の原因を徹底解説
• 4、動物病院での検査の流れ
• 5、治療法と自宅でのケア
• 6、予防と長期的な管理
• 7、猫の腹水に関する意外な豆知識
• 8、腹水と食事の深い関係
• 9、腹水とストレスの意外な関係
• 10、腹水とお金の話
• 11、もしもの時のために
• 12、FAQs

猫のお腹に水がたまる「腹水」って何？

腹水の正体を知ろう

「うちの子、最近お腹がぽっこりしてきた気がする...」そんな時は要注意！腹水（ふくすい）と呼ばれる状態かもしれません。腹水とは、簡単に言うとお腹の中に余分な水分が溜まってしまう症状のこと。血液、尿、リンパ液など、様々な液体が原因になります。

実は私も初めて愛猫のお腹が膨らんでいるのを見た時、ただ太ったのかと思っていました。でもよく見ると、触るとブヨブヨしているし、ご飯もあまり食べない。これは普通の肥満とは違うと気づいたんです。腹水がたまると、内臓が圧迫されて呼吸が苦しくなったり、食欲が落ちたりするんですよ。例えば、ソファからジャンプするのを嫌がるようになったら、要注意サインかもしれません。

どうして腹水がたまるの？

「ただの水がたまるだけなら大したことないでしょ？」と思ったあなた、それは大きな間違いです！腹水はあくまで症状であって、その背後には深刻な病気が隠れていることがほとんど。心臓病や肝臓病、ガンなど、様々な原因が考えられます。

特に気をつけたいのが高齢猫。7歳を過ぎたら定期的にお腹をチェックしてあげましょう。私の知り合いの猫は、腹水がきっかけで早期に肝臓病が見つかり、適切な治療を受けることができました。早めの気づきが、愛猫の命を救うこともあるんです。

腹水のサインを見逃すな！

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目で見てわかる変化

最初に気づきやすいのは、お腹の膨らみです。ただし、肥満との見分けが難しい場合も。見分け方のコツを表にまとめました。

他にも、横から見た時にお腹が垂れ下がっている、仰向けにするとお腹の形が左右非対称などが特徴です。私の経験では、毛づくろいをしている時に「あれ？お腹の形がいつもと違う」と気づく飼い主さんも多いようです。

行動の変化に注目

「最近、元気がないな」と思ったら、次のようなサインがないかチェックしましょう。

・高い所に登らなくなった
・ご飯を残すことが増えた
・呼吸が早い、口で息をしている
・触られるのを嫌がる（特に腹部）

こんな話があります。ある飼い主さんは、愛猫が突然キャットタワーの上段を使わなくなったことで異変に気づきました。検査の結果、腹水がたまってジャンプが辛かったことが判明。些細な変化も見逃さないことが大切です。

腹水の原因を徹底解説

心臓と肝臓の問題

「どうしてうちの子に限って...」と嘆く前に、腹水の主な原因を知っておきましょう。心臓病、特に右心不全は代表的な原因の一つ。心臓がうまく働かず、血液が渋滞して水分が漏れ出してしまうんです。

また、肝臓病も要注意。肝臓は体の化学工場のようなもの。ここが故障すると、血液中のアルブミンというタンパク質が減り、水分が血管から漏れ出しやすくなります。例えば、肝臓病の猫によく見られるのが、腹水と同時に黄疸（目や歯茎が黄色くなる）の症状。

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目で見てわかる変化

「まさかこんなことが原因に？」と思うようなケースもあります。例えば、転落事故による内臓損傷。私の勤める動物病院では、マンションのベランダから落ちた猫が膀胱破裂を起こし、腹水（この場合は尿）がたまった症例がありました。

また、ネコ伝染性腹膜炎（FIP）というウイルス性疾患も近年増えています。これは若い猫に多く見られ、腹水が黄色く濁っているのが特徴。予防にはストレスを減らし、免疫力を高めることが重要です。

動物病院での検査の流れ

最初に行う基本検査

「病院に行ったらどんな検査をするの？」と不安ですか？大丈夫、順を追って説明しますね。まずは身体検査でお腹の状態を確認。触診だけで腹水がある程度わかることも。

次に超音波検査やレントゲンでお腹の中をのぞきます。これで腹水の量や、どの臓器に問題があるかがわかるんです。私のオススメは、検査の時に「どんな映像が見えるんですか？」と聞いてみること。一緒にモニターを見ながら説明を受けると、理解が深まりますよ。

さらに詳しく調べる検査

「もっと詳しく調べる必要がある」と言われたら、次のような検査が行われます。

・血液検査（肝臓や腎臓の数値をチェック）
・腹水の検査（針で少量抜いて分析）
・尿検査（腎臓の状態を確認）

特に腹水検査は、原因を特定するのに役立ちます。例えば、抜いた液体が血液っぽいなら内出血、黄色く濁っていれば感染症の可能性が高いなど。検査結果を待つ間は不安ですが、正確な診断が適切な治療の第一歩です。

治療法と自宅でのケア

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目で見てわかる変化

「腹水と診断されたら、どうなるの？」治療法は原因によって様々ですが、一般的なアプローチをご紹介します。

まず、利尿剤を使って余分な水分を尿として排出させます。ただし、これだけでは根本治療にならないことも。心臓病なら強心剤、肝臓病なら肝臓をサポートする薬など、原因に応じた治療が並行して行われます。

重症の場合、お腹に針を刺して水を抜く穿刺（せんし）を行うことも。これは一時的な処置ですが、呼吸が楽になるなど猫の負担を減らせます。私が見た症例では、穿刺後みるみる元気を取り戻した子もいました。

家庭でできること

「家ではどうケアすればいい？」一番大切なのは安静と食事管理です。具体的には：

・塩分控えめの療法食を与える
・ストレスをかけない環境を作る
・定期的に体重を測る
・お腹の大きさをチェック

例えば、我が家では腹水の治療中の猫のために、段差をなくしてフラットな生活空間を作りました。また、毎朝同じ時間に体重を測り、変化を記録。小さな変化も見逃さないことが早期発見につながります。

予防と長期的な管理

再発を防ぐために

「一度よくなったら終わり？」残念ながら、腹水は再発する可能性があります。特に慢性疾患が原因の場合、継続的な管理が必要です。

定期的な通院はもちろん、自宅での観察が大切。例えば、毎週写真を撮ってお腹の大きさを記録するのも良い方法。スマホで簡単に記録でき、変化に気づきやすくなります。私のクライアントさんで、この方法で早期に再発をキャッチできた方がいました。

QOLを考える

「治療が難しいと言われたら...」そんな時は、猫の生活の質（QOL）を最優先に考えましょう。痛みの管理や快適な寝床の準備など、できることはたくさんあります。

例えば、お腹が大きいと通常の姿勢で寝るのが辛い場合、クッションで体を支えてあげると楽になります。また、トイレの段差をなくすなどの小さな配慮が、猫の負担を軽減します。最後まで愛猫らしい生活を送れるよう、私たちがサポートしてあげましょう。

腹水は確かに怖い症状ですが、早期発見と適切な治療でコントロールできることも多いです。あなたの愛猫が少しでも長く健康でいられるよう、今日からお腹のチェックを始めてみてくださいね。

猫の腹水に関する意外な豆知識

腹水と猫種の関係性

実は猫の種類によって腹水のリスクが異なるって知ってましたか？例えば、ペルシャ猫やヒマラヤンなどの短頭種は、心臓病のリスクが高い傾向があります。

私が調べたデータでは、雑種猫に比べて純血種の方が腹水を発症する確率が1.5倍高いという結果も。特に7歳以上のメインクーンでは、心筋症による腹水が多く報告されています。あなたの猫が特定の品種なら、その猫種に多い病気を事前に調べておくと良いでしょう。

季節と腹水の意外な関係

「夏場に腹水が悪化する猫が多い」という獣医師の話を聞きました。暑さで脱水症状になると、血液が濃くなり心臓に負担がかかるからだそうです。

対策として、夏場は特に新鮮な水を複数箇所に設置することをおすすめします。我が家では、猫がよく通る場所に3つの水飲み場を作り、毎日水を交換しています。こうした小さな配慮が、愛猫の健康を守ることにつながるんです。

腹水と食事の深い関係

手作りごはんの落とし穴

「愛情込めて手作りごはんを作っているのに...」という飼い主さん、要注意です。実は塩分調節を誤ると腹水の原因になることがあります。

人間用の出汁や調味料を使うのは絶対にNG。猫の腎臓は塩分処理能力が低いので、知らず知らずのうちに負担をかけているかもしれません。私の友人は「少量なら大丈夫」と思って鰹節をかけすぎ、愛猫が腎臓病になってしまった苦い経験があります。

おすすめの市販フード

腹水予防に効果的な成分を含んだフードをご紹介します。次の表を見てください。

最近では、腹水ケア専用の療法食も販売されています。かかりつけの獣医師に相談しながら、愛猫に合ったフードを選んであげましょう。

腹水とストレスの意外な関係

引っ越しや新しい家族

「環境の変化が腹水の引き金になる」なんて、考えたことありますか？実はストレスが免疫力を低下させ、FIP（猫伝染性腹膜炎）の発症リスクを高めることがわかっています。

例えば、新しい猫を迎え入れた時や引っ越し直後は特に注意が必要。我が家で2匹目を迎えた時、先住猫がストレスで体調を崩したことがありました。そんな時は、別々の部屋で過ごさせたり、フェロモンスプレーを使ったりするのが効果的です。

多頭飼いの注意点

3匹以上飼っている場合、水飲み場やトイレの数が足りていない可能性があります。これがストレスや水分不足の原因に。

一般的な目安として、猫の数＋1個の水飲み場を設置するのが理想的。我が家では4匹飼っているので、5ヶ所に水を置いています。こうした環境整備が、腹水予防の第一歩になるんです。

腹水とお金の話

治療費の相場は？

「腹水の治療ってどれくらいかかるの？」これは私もよく聞かれる質問です。初期検査だけで2～3万円、入院が必要な場合は10万円以上かかることも。

でも安心してください。最近はペット保険でカバーできる場合も増えています。私のクライアントさんで、保険を使ったことで自己負担が3分の1になった方もいます。加入している保険の内容を今一度確認してみましょう。

長期治療のコスト削減術

毎月の通院費が負担になる場合、いくつかの節約方法があります。例えば、血液検査の項目を絞る、3ヶ月分の薬をまとめて処方してもらうなど。

私のおすすめは、かかりつけの獣医師と正直に相談すること。「予算に限界がある」と伝えると、優先順位をつけて治療計画を立ててくれるはずです。愛猫のためにも、お金の話を避けずにオープンに話し合いましょう。

もしもの時のために

夜間・休日の対応

「深夜に愛猫の様子がおかしくなったら？」そんな時のために、近所の夜間救急動物病院を調べておきましょう。

スマホのメモ帳に住所と電話番号を保存しておくだけでも安心です。私も過去に深夜に猫が苦しそうにしていた時、事前に調べていた病院にすぐ駆け込むことができました。この準備が愛猫の命を救うことになるかもしれません。

在宅ケアの必需品

自宅でできる応急処置として、次のアイテムを常備しておくと便利です。

・猫用体温計
・スポイト（無理やり水を飲ませる用）
・クッション（楽な姿勢を保つため）
・記録ノート（症状の経過を記入）

特に記録ノートは重要で、病院に行った時に症状の経過を正確に伝えられます。私は愛猫の体調に変化があると、すぐにスマホでメモを取るようにしています。些細な変化も見逃さないことが、早期発見につながりますからね。

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FAQs

Q: 猫の腹水の初期症状はどんなものですか？

A: 腹水の初期症状として最も多いのは、お腹のふくらみと活動量の減少です。私の経験では、飼い主さんが最初に気づくのは「キャットタワーの上段に登らなくなった」という変化が多いですね。他にも、お腹を触られるのを嫌がる、呼吸が早い、食欲が落ちるなどの症状が見られます。

特に注意したいのは、肥満との見分け方。腹水の場合、下腹部が特に膨らみ、横から見ると垂れ下がったような見た目になります。また、仰向けにした時に左右非対称なのも特徴です。例えば、右側だけが明らかに膨らんでいる場合は、内臓のトラブルが疑われます。

「もしかして？」と思ったら、スマホで写真を撮って毎日比較するのがおすすめ。私のクライアントさんで、この方法で早期に異常に気づき、大事に至らなかったケースもあります。

Q: 猫の腹水の原因で最も多いのは何ですか？

A: 私の臨床経験では、心臓病と肝臓病が最も多い原因です。特に高齢猫の場合、右心不全による腹水がよく見られます。心臓のポンプ機能が弱まると、血液が渋滞して水分が血管から漏れ出してしまうんです。

肝臓病も要注意。肝臓は「アルブミン」というタンパク質を作っていますが、これが不足すると血管から水分が漏れやすくなります。実際、私が診た症例では、腹水と同時に歯茎が黄色くなる「黄疸」が見られた猫が肝臓病と診断されました。

その他にも、ネコ伝染性腹膜炎（FIP）や膀胱破裂、がんなど様々な原因が考えられます。若い猫の場合はFIP、外に出る猫なら交通事故による内臓損傷も疑います。

Q: 腹水がたまった猫の治療費はどれくらいかかりますか？

A: 治療費は原因や治療法によって大きく異なりますが、初期検査で3～5万円、入院が必要な場合は10万円以上かかることも。例えば、超音波検査や血液検査などの基本検査だけで約2～3万円。腹水を抜く穿刺（せんし）処置には1～2万円かかります。

私がよくアドバイスするのは、ペット保険への加入です。特に7歳以上の猫は腹水のリスクが高まるので、早めに検討するのがおすすめ。また、自治体によっては動物医療費助成制度があるので、調べてみてください。

治療費が心配な場合は、かかりつけの獣医師とよく相談しましょう。症状に応じて優先順位をつけたり、在宅治療可能な方法を提案したりできる場合もあります。

Q: 腹水の猫に自宅でできるケアはありますか？

A: 自宅でできる最も重要なケアは、安静と食事管理です。具体的には、段差を減らして運動量を制限し、獣医師が推奨する療法食を与えます。私のおすすめは塩分控えめの食事で、肝臓や心臓に負担をかけません。

また、毎日体重とお腹の大きさを記録するのも効果的。スマホで写真を撮って比較すると、小さな変化にも気づけます。私のクライアントさんの中には、お腹の周囲をメジャーで測って記録している方もいます。

ただし、利尿剤を処方されている場合は、水を飲む量とおしっこの量もチェックしましょう。脱水症状に注意しながら、適切な水分補給が大切です。

Q: 腹水が再発する可能性は高いですか？

A: 残念ながら、慢性疾患が原因の場合は再発リスクが高いです。特に心臓病や肝臓病が原因の場合、定期的な通院と継続的な投薬が必要になります。私の診た症例では、月に1回の検査と投薬で2年以上管理できている猫もいます。

再発のサインとして、またお腹が膨らんでくる、呼吸が荒くなる、食欲が落ちるなどの症状が見られます。早期発見のためにも、治療後は2～3ヶ月に1回は定期検診を受けるのが理想的。

「再発が心配」という飼い主さんには、自宅でできる簡単なチェック方法をアドバイスしています。例えば、猫がリラックスしている時の呼吸数（1分間に30回以上なら要注意）を数えるなど、ちょっとした観察が早期発見につながります。